※一部訂正あり。
1月25日から西武百貨店 渋谷店の美術画廊にて開催されていた『SHIBU Culture ~デパート de サブカル(以下略:シブカル)』が、2月2日に会期を5日間のこして急遽中止となりました。
また、2月6日にツイッターにてヴィレッジヴァンガード(以下略:ヴィレヴァン)からエロ、グロ系商品が撤去される情報が流れました。
ツイッター上では、これらは昨年12月に可決された東京都青少年健全育成法が関係した事件だったという噂も流れました。
2月10日、パネリストにシブカル出展作家を交えたシンポジウムが開催されました。シンポジウムを通して分かったこと、感じたことを記します。
■シンポジウムの概要
2月10日に浅草橋のパラボリカ・ビスにて、パネリストにシブカル出展作家を交え、『今野裕一×吉田アミ「夜想語りの夜」緊急シンポジウム』が行われました。今回のシンポジウムは『夜想語りの夜』の緊急企画として行われました。
司会に吉田アミさん(音楽家)、パネリストには今野裕一さん(ペヨトル工房主宰/夜想編集長)、浅井隆さん(有限会社アップリンク社長)、真珠子さん(美術作家)、美少女さん(人形作家)、ササタニーチェ/ササタニリョウヘイさん(映像作家)というメンバーで行われました。
■シブカル展中止の概要
1月25日から西武百貨店 渋谷店の美術画廊にて開催されていた『SHIBU Culture ~デパート de サブカル(以下略:シブカル)』が、2月2日に会期を5日間のこして急遽中止となりました。
展覧会へのクレームが画廊ではなく本社に入ったため、会期を残して中止となりました。
一時は画廊の担当者が問題のありそうな作品を除いて展示を続行しようとしたそうです。しかし、画廊の担当者にはどの作品にクレームが入ったのか、最後まで分からない状態で展示中止となってしまいました。
■パネリストの皆さんの意見
「憲法に保証された表現に関わる問題ではない」(浅井さん)
「自分の印象だが、原因と対象物をはっきりさせない規制だ。」(今野さん)
「(会期終了まできちんと展示するべきという意見に対して)それが筋だと思います。」(美少女さん)
「西武でやってみたかったです。」(真珠子さん)
シブカル展については、クレームが入った作品をはっきりさせなかったことがツイッター等で憶測を呼び、問題を大きくしてしまったのではないかと思いました。
■ヴィレヴァンのエロ、グロ商品撤去の概要
2月6日ヴィレッジヴァンガードココウォーク店から、エロ、グロ系商品撤去に関する情報がツイッター上に流されました。本件もシブカル展と同様、都条例が関係しているのではないかと憶測を呼びました。
以下、ヴィレッジヴァンガードココウォーク店からのツイートを引用します。
「悲しいお知らせです。 大人の事情により、店内からエロ系のグッツや本やコミックが姿を消します(´・_・`) なんか、ちょっと、やるせなすです。 エロ系を求めてご来店されてたお客様、大変申し訳ございません(−_−;)」
■パネリストの皆さんの意見
「子どもに見せないというゾーニングをすることは、ポルノを解禁した上でならいいが、表現の自由が担保されないでゾーニングが強化されるのは問題」(浅井さん)
「僕のDVDはターゲットがヴィレッジヴァンガードでしかない。ヴィレッジヴァンガードでたくさん売ってもらっていた。」(ササタニさん)
ササタニさんは、DVDの販路をほぼヴィレヴァンだけに絞っていたため、ヴィレヴァンで商品を売れなくなったことにとても困っているそうです。
■ライターの意見
シブカル展中止に関しては、表現に関する問題ではないと思いました。
「一企業の事なかれ主義の問題だから、それ以上の問題ではない」(浅井さん)
また、展示中止の原因となった作品がはっきりしないせいで“都条例のせいではないのか?”という憶測や噂を呼び、ツイッターなどで話題になったのではないでしょうか。
人が何を見て不快に感じるかは千差万別なので、どんな展示や作品にもクレームが入る可能性があります。クレームが入った作品を除くなどの対応をして、会期まできちんと展示を続けることができれば良かったと思いました。
ヴィレヴァンの商品撤去については、表現の問題というより、企業が転換期にあるのだと思いました。
12月に東京都青少年健全育成条例改正案が可決されて間もないためか、商品撤去の原因が都条例のせいだと憶測を呼びましたが、子供が簡単に出入りできるショッピングモール等にも店舗展開されている状況を考えれば、いつこういった措置が取られてもおかしくなかったように思います。
今回の2件は、ツイッター上で様々な意見が広まったところが共通しています。
その中には憶測や噂など、根拠のない発言がたくさんあったように思います。
何かが規制や自粛されたときに、状況をきちんと見極めずに都条例に規制されていると思い込んだり、ツイッター上にある事実か分からない情報をむやみに拡散したりするのは良くないと思いました。
それは、自分たちで「表現は規制されているのだ」という雰囲気を作ってしまうような行為だと思います。
シンポジウムの中でのこの言葉が印象に残りました。
「自分が知らないものに対して、理解しようとするワンアクションがない状態で排除しようとすることが、今回のいくつかの事件の背景にあるのではないでしょうか。」(美少女さん)
表現する側にも、受け手にも、互いに理解しようとする気持ちが大切だと思いました。表現の自由やそれにまつわるルールについて少しでも考えていただけたらと思っています。
(追記:初出時の記事から内容を一部訂正して掲載いたします。記者の事実誤認のため、発言者のコメントを曲解して掲載したこと、シンポジウムの内容を誤認させる記事となっていたことを深くお詫び申し上げます。また、パネリストの皆様の肩書きを訂正し、深くお詫び申し上げます。)(山本)
(参考リンク)
・Togetter – 「ヴィレッジヴァンガードからエロ・アングラ商品撤去に関するツイート」
・パラボリカ・ビス公式サイト
・UPLINK公式サイト
・吉田アミさん公式サイト「Howling Voice」
・真珠子さん公式サイト「やんちゃなおしおき」
・美少女さん公式サイト「上海乗風界水中心」
・ササタニリョウヘイさん公式サイト「sasatani-chez official site」■あなたにオススメの記事!